【読者体験談】Aさん(55歳)の告白〜契約後に発覚した追加費用の罠〜

こんにちは、フリーライターで体験談コレクターの高橋真由美です。
夫と二人の子供たちと埼玉県で暮らしながら、自身の経験を基にお墓選びのブログを書いています。

突然ですが、皆さんはお墓を建てるときの費用について、どこまで具体的にイメージできていますか?
「だいたい200万円くらいかな?」と漠然と考えている方が多いかもしれません。
しかし、その金額だけで本当に安心できるのでしょうか。

実は、お墓選びには「契約後に追加費用が次々と発生する」という、非常に厄介な落とし穴が存在します。
これは決して特別なケースではありません。
私のブログに寄せられる相談の中でも、この追加費用に関するトラブルは後を絶たないのです。

今回は、私の元に届いた読者の方の悲痛な叫びをご紹介します。
Aさん(55歳)が経験した、契約後に発覚した追加費用の罠。
これは、これからお墓を建てようと考えているすべての方に知っていただきたい、本当に大切な物語です。

【読者体験談】Aさん(55歳)を襲った悪夢の追加請求

きっかけは「特別割引」のチラシだった

「高橋さん、私はどうしたらいいんでしょうか…」

先日、私の主催する「お墓選び体験談交流会」に、憔悴しきった表情で参加されたAさん。
お話を伺うと、その原因はお墓の契約をめぐる金銭トラブルでした。

Aさんがお墓の建立を考え始めたのは、昨年の秋。
数年前に亡くなられたお父様のために、そろそろお墓を用意してあげたいと考えていた矢先、ポストに一枚のチラシが入っていたそうです。

「今だけ!地域限定の特別割引キャンペーン実施中!墓石工事費込みで150万円〜」

大手石材店の名前も記載されており、Aさんは「これなら予算内で立派なお墓が建てられるかもしれない」と、すぐにその石材店に連絡を取りました。

契約時の見積もりは180万円。しかし…

石材店の営業担当者はとても物腰が柔らかく、親身に話を聞いてくれたと言います。
Aさんの希望や予算を伝えると、担当者は「Aさんのご予算でしたら、こちらのプランがおすすめです」と、いくつかの墓石を提案。
最終的に、Aさんはデザインも気に入った、総額180万円の見積もりで契約を結びました。

「これで一安心だわ」と胸をなでおろしたAさん。
しかし、この契約こそが悪夢の始まりだったのです。

次々と判明する「見積もり外」の費用

契約から1ヶ月後、石材店の担当者から1本の電話が入りました。

「Aさん、墓地の地盤を調査したところ、少し緩いことがわかりました。安全のため、基礎工事を通常よりもしっかり行う必要があります。追加で15万円ほどかかりますが、いかがいたしましょうか?」

Aさんは「安全のためなら仕方ない」と、その追加費用を了承しました。
しかし、話はそれだけでは終わりませんでした。

  • 文字彫刻料: 「見積もりには基本的な家名しか含まれていません。故人様のお名前や戒名を彫るには、お一人様あたり5万円の追加料金が必要です」
  • 納骨手数料: 「納骨当日、スタッフがお手伝いする費用として3万円いただきます」
  • 開眼供養のお布施: 「お坊さんの手配は弊社で行いますが、お布施として5万円を別途ご用意ください」
  • 付属品: 「花立や香炉は、標準的なものより少し良いものを選ばれたので、差額で8万円です」

まるで後出しジャンケンのように、次から次へと追加費用が請求されていきました。
Aさんが「契約の時にはそんな話は聞いていません!」と抗議しても、担当者は「いえ、ご説明したはずですが…」「これは業界では常識でして…」と、取り合ってくれなかったそうです。

最終的な請求額は250万円超えに

当初180万円だったはずのお墓。
最終的にAさんの元に届いた請求書に記載されていた金額は、なんと258万円
予算を80万円近くもオーバーしてしまいました。

Aさんは、今でもその石材店への不信感と、もっと慎重に確認しなかった自分自身への後悔で、夜も眠れないことがあると言います。
「正直、今でも後悔していることがあります。なぜあの時、もっと強く言えなかったのか…」と涙ながらに語るAさんの姿に、私は自分の過去の失敗を重ねずにはいられませんでした。

なぜ追加費用は発生するのか?お墓の費用の全体像

Aさんのような悲しい経験をする人を一人でも減らすために、まずはお墓の費用がどのように構成されているのか、その全体像を理解することが重要です。

お墓の費用は主に3つの要素で構成される

一般的にお墓を建てる際には、大きく分けて以下の3つの費用が必要になります。

  1. 永代使用料(えいたいしようりょう)
    • 墓地の土地を使用する権利を得るための費用です。土地を購入するわけではないので、所有権は発生しません。
    • 都心部や人気の霊園ほど高くなる傾向があります。
  2. 墓石工事費
    • 墓石そのものの価格(石材費)と、それを設置するための工事費を合わせた費用です。
    • 石の種類やデザイン、加工の複雑さによって価格が大きく変動します。
  3. 管理費
    • 霊園の共有スペース(通路や水道施設など)を維持・管理するための費用で、毎年支払うのが一般的です。
    • 公営霊園は比較的安く、民営霊園や寺院墓地は設備が充実している分、高くなる傾向があります。

「全国優良石材店の会(全優石)」が2025年に実施した調査によると、一般的な石のお墓(一般墓)の費用相場は総額で150万円~350万円程度とされています。

見積書に書かれにくい「追加費用」の正体

問題となるのは、この3つの主要な費用以外に発生する「その他の費用」です。
悪質な業者の場合、最初の見積もりを安く見せるために、意図的にこれらの費用を記載しないケースがあります。

Aさんのケースで発生した追加費用も、まさにこの「その他の費用」でした。
契約前にこれらの費用の存在を知っているかどうかで、最終的な支払額は大きく変わってきてしまうのです。

【表解説】見落としがちな追加費用一覧と相場

では、具体的にどのような追加費用が発生する可能性があるのでしょうか。
私の体験談収集の記録と、WEBリサーチで得た情報を基に、見落としがちな項目を表にまとめました。
これから見積もりを取る方は、ぜひこの表を片手に石材店と話をしてみてください。

項目内容費用相場備考
基礎工事費墓石を支える土台を作る工事。地盤の状態によっては追加の補強工事が必要になる場合がある。10万円~30万円地盤調査の結果、追加費用が発生することがある。
外柵(がいさく)工事費墓所の区画を囲む石の柵。見積もりに含まれていない場合や、デザイン変更で追加料金が発生する場合がある。20万円~50万円区画が広いほど高額になる。
文字彫刻料墓石や墓誌に家名、戒名、俗名、没年月日などを彫る費用。3万円~5万円/1人あたり見積もりに含まれる彫刻の範囲(家名のみか、戒名も含むか)を確認することが重要。
納骨手数料納骨の際に、納骨室(カロート)の開閉などを石材店に依頼する費用。1万円~3万円自分たちで行う場合は不要だが、専門的な知識が必要な場合が多い。
開眼供養関連費新しいお墓に魂を入れる儀式。僧侶へのお布施や、お車代、御膳料など。3万円~10万円お布施の相場は3万円~5万円程度。 石材店が手配する場合、手数料が上乗せされることも。
付属品費用花立、香炉、塔婆立て、墓誌(ぼし)など。標準仕様から変更した場合に差額が発生する。5万円~20万円墓誌を単体で建てる場合は5万円~20万円前後が目安。
消費税見積もりが税抜き価格で表示されている場合、契約時に消費税分が加算される。総額の10%「税込み」か「税抜き」かを必ず確認する。

※上記の相場はあくまで目安です。地域や石材店によって異なります。

実は私も…高橋真由美の苦い失敗談

Aさんのお話を聞きながら、私は2015年の義父のお墓選びでの大失敗を思い出していました。
正直に言うと、あの時の私はAさんと全く同じ過ちを犯してしまったのです。

葬儀社の紹介だからと安心しきっていた義父の時

義父が急逝し、悲しみに暮れる間もなくお墓の準備に追われました。
何の知識もなかった私たちは、葬儀を担当してくれた葬儀社から紹介された石材店に、何の疑いもなく依頼してしまったのです。

「葬儀社さんの紹介なら安心だろう」
その思い込みが、後々の大きな後悔につながりました。

「一式」という言葉の裏に隠された高額請求

提示された見積書には「墓石工事費一式 150万円」とだけ書かれていました。
私たちはその金額がすべて込みの値段だと思い込み、詳細を確認することなく契約してしまいました。

しかし、その後、Aさんと全く同じように「地盤改良費」「文字彫刻料」「付属品のグレードアップ費用」などが次々と追加され、最終的な請求額は280万円にまで膨れ上がったのです。

あの時の私に教えてあげたいのは、「一式」という言葉ほど怖いものはない、ということです。
何が含まれていて、何が含まれていないのか。それを一つひとつ確認する手間を惜しんではいけません。

あの時の私に教えてあげたいこと

今思えば、なぜあの時、もっと冷静になれなかったのかと悔やまれます。
しかし、大切な家族を亡くした直後で、精神的に余裕がなかったのも事実です。
業者の方も、そういった遺族の心理を巧みに利用することがあります。

だからこそ、私は声を大にして言いたいのです。
「同じ失敗をしてほしくない」と。
私の失敗が、そしてAさんの涙が、これからお墓を建てるあなたの道しるべになることを心から願っています。

追加費用の罠にハマらないための5つの鉄則

では、どうすればAさんや私のような失敗を防ぐことができるのでしょうか。
私自身の2回の経験と、これまでに収集した50家族以上の体験談から導き出した「5つの鉄則」をご紹介します。

鉄則1:必ず複数社から「相見積もり」を取る

これは基本中の基本です。
1社だけの見積もりでは、その価格が適正かどうか判断できません。
面倒でも必ず3社程度の石材店から、同じ条件で見積もりを取りましょう。

そうすることで、各社の価格の違いだけでなく、担当者の対応や知識の深さも見えてきます。
「大幅な値引きを提案してくる」「契約を急かす」ような業者は注意が必要です。

鉄則2:見積書の「一式」表記は徹底的に問いただす

見積書に「○○一式」という表記があったら、必ずその内訳を確認してください。
具体的にどの工事にいくらかかるのか、どの付属品が含まれているのか、書面で明示してもらいましょう。

「この『工事費一式』には、基礎工事や外柵の費用は含まれていますか?」
「この『付属品一式』には、花立と香炉以外に何が含まれていますか?」

このように、一つひとつ具体的に質問することが大切です。
良心的な石材店であれば、丁寧に説明してくれるはずです。

鉄則3:契約書に記載のない口約束は信じない

「これはサービスしておきますよ」「後で値引きしますから」
営業担当者の甘い言葉を鵜呑みにしてはいけません。
口約束は、後になって「言った」「言わない」の水掛け論になりがちです。

どんな些細なことでも、必ず契約書や覚書などの書面に残してもらうようにしましょう。
それが、あなた自身を守るための最も確実な方法です。

鉄則4:基礎工事や外柵工事の内容を書面で確認する

見えなくなる部分だからこそ、手抜き工事が行われやすいのが基礎工事です。
どのような材料を使い、どのような手順で工事を行うのか、設計図や仕様書で確認しましょう。

また、外柵(区画を囲む石)が見積もりに含まれているかも重要なチェックポイントです。
含まれていない場合、後から数十万円の追加費用が発生する可能性があります。

鉄則5:石材店の実績や評判を自分の目で確かめる

契約する前に、その石材店が過去に建てたお墓を実際に見せてもらうことをお勧めします。
店舗や工場が整理整頓されているか、スタッフの対応は誠実かなども、信頼できる業者を見極めるための重要な判断材料になります。

また、保証やアフターサービスの内容も必ず確認しておきましょう。
お墓は建てて終わりではありません。
長いお付き合いになるからこそ、信頼できるパートナーを選ぶことが何よりも大切なのです。

信頼できる石材店を見極めるポイントとして、ウェブサイトで施工実績や費用に関する考え方を明確に公開しているか、という点も挙げられます。
例えば、私がリサーチした中で見つけた石川県の山本石材店などは、創業97年の歴史と実績を持つ山本石材店の公式サイトで、お墓づくりへのこだわりや流れを丁寧に説明しており、これから石材店を探す方にとって一つの判断基準になるでしょう。

まとめ:納得できるお墓選びは「知ること」から始まる

今回は、読者のAさんの体験談を通して、お墓の契約後に発生する追加費用の恐ろしさについてお伝えしました。

Aさんのような失敗は、決して他人事ではありません。
お墓選びに関する知識が不足していると、誰でも同じような罠に陥る可能性があります。

しかし、事前に費用の内訳や注意点を知っておくだけで、そのリスクは大幅に減らすことができます。
大切なのは、業者任せにせず、自分自身でしっかりと情報を集め、納得できるまで質問し、比較検討することです。

お墓選びは、故人を偲び、家族の絆を再確認するための大切な時間です。
その大切な時間が、お金のトラブルで悲しい思い出にならないように。
この記事が、あなたの「後悔しないお墓選び」の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。